え・・・クビ? ・・・クビですか?
課長っぽい人「そうだよ。残念だけね・・・君が悪いわけじゃないんだけど、うちもいろいろあってねえ・・・あんまり景気が良くないんだよ。政美君はまだ若いから再就職先見つかるよ。僕なんてもう50過ぎじゃってるから・・・ハハハァ・・・(嫌な役回りだな・・・)」
政美の勤める会社は総従業員30人程度の小さな会社である。創業から30年、社長が二代目に変わってからの経営状況は芳しくなかった。
それは二代目社長のせいだけではなく、業界自体の縮小の問題が大きい。
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はあ・・・クビかあ・・・優子(政美の嫁)になんて言えばいいんだろう・・・もうすぐ子どもも産まれるっていうのに・・・
*「なんだ・・・?捨て猫か?でっかい捨て猫だな」
・・・
*「そんなとこに居られると邪魔なんだが・・・」
・・・傘?
顔を上げるとそこにはスーツを着た男が立っていた。
どうした?何かあったのか?
・・・あなたには関係ないです・・・
そうかい・・・なら別に良いけどよ。ただ店の前でそんな辛気臭い顔したやつに居られると商売の邪魔なんだよ。
男の後ろには何やら飲食店のようなモノが見える。その傍らにある看板にはこう書かれていた。
・・・くまのパン屋?
つーこった。用のないやつは帰れ!帰れ!
え?!この格好でパン屋ってどういうことですか?!
ん?なんだお前?客か?客なら早くそう言えよ。パンが冷めちまうじゃねえか。
いや・・・そういうことじゃないんだけど・・・(何なんだこの人・・・)
俺は元々年収上げたいと思っている人達の相談に乗ったりする仕事をしていたんだ。コンサルタントみたいなもんかな。元々パンなんて焼いてなかったんだけどよ。美和子がパン屋やりてえって言うから兼業でやってるんだ。
コンサル?美和子?何言ってるかよくわからないなこの人・・・
聞こえてるぞ。
・・・あの、
三千院だ。
あ、政美です。政美健一。あの、三千院さんはコンサルもやっているんですよね。
まあ、片手間だけどな。今はパン焼く方が楽しいからサイドビジネスみたいなもんだ。
あの・・・実は僕、リストラされちゃって・・・
ふーん。だから死んだ魚介類みたいな目して店の前でうなだれていたんだな。
酷過ぎだとおもいませんか!?何にも悪いことしていないのにただ単に若いからって、再就職出来るだろうからって・・・いくら会社の経営が苦しいからってあんまりだと思いませんか!?こっちにだって事情があるのに、家庭があるのに・・・
いや・・・まあ運が悪ければそういうこともあるだろうな。
運が悪けりゃ・・・って・・・
まあ立ち話もなんだからとりあえず上がれよ。別に金なんて取らねえから。
政美は心の中では胡散臭いなーと思っていたがこのまま家に帰るわけにもいかずとりあえず三千院に相談することにした。
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*「いらっしゃいませ♪ご注文はいかがいたしましょう?」
「(・・・なんて可愛い子なんだ)・・・あ、あの政美と申します!」
「・・・おい。人の嫁に何色目使ってんだよ・・・。美和子も何度言ったらわかるんだ!パン屋は注文なんて聞かねえだろ!」
「・・・いや・・・しかし本当にパン屋なんだなあ。しかもどれもおいしそう。」
「おい、そっちはパンしかねえぞ。お前はパンを買いに来たのか?俺の事務所は二階だ。付いて来い。」
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「ふーん。大手メーカーに卸販売ね。」
「はい。まあ小さい会社なんですけど取引先が大企業なので仕事は安定していたんですよ。だけどここ最近その取引先の仕事もどんどん減っていたので社内でリストラの噂もありました。まさか自分が選ばれるなんて・・・」
「・・・で?これから先食べていけるだけの収入はあるの?」
「一応会社都合ということで退職金も通常よりはかなり多めに頂けますし、ハローワークに行けば失業手当も貰えるみたいです。」
失業保険について
雇用保険に加入している人(フルタイムで働いているはほぼ必ず加入している)は退職時にハローワークで手続きをすれば失業保険が普及されます。
貰える金額や日数は加入期間や退職理由によって決まっていますが、一般的に失業保険は会社都合による退職の方が優遇されます。
失業保険はリストラには優しいからな。よかったじゃねえか(笑)
すぐ貰えるぞ。確か。
(笑)って全然笑えませんよ!失業保険が貰える期間なんてたかが知れてるし、この不況の世の中ですぐに再就職が決まるとも思えないし・・・何よりまさか自分が会社辞めることになるなんて思っても見なかったし・・・
何寝ぼけたこと言ってんの?まさか本気でずっと同じ会社で定年まで働けるとでも思っていたのか?
・・・えっ?
会社ってのはなあ、働いてる連中の人生を保証してくれるところじゃねえんだよ。ただ利害関係が一致しているだけの集まりなのさ。だから会社によって利があると思ってるうちは雇って給料払ってはくれるが害の方が強いと思えば辞めさすなんてこともあるんだよ。別に珍しいことじゃねえだろ?
どこででも働けるようにスキルを磨け
改めましてこんにちは。
クマのパン屋厨房係兼キャリアアドバイザーの三千院です。
突然ですがあなたは今回のお話で登場した政美のように突然会社がクビになった場合困りますか?
恐らく「全く困らない」、「問題ない」と答えられる人は少ないと思います。
「困らない」と言い切れる人はきっと価値のある技術やスキル、社会に求められる能力を持っていてすでに年収が比較的高いか、少なくとも将来高収入が見込める人だけでしょう。
しかし政美のように、
「どうしよう・・・」
「生活できない・・・」
「再就職できるだろうか・・・」
と思ってしまう人は残念ながら将来的にも年収が大きく上がる見込みがありません。
何故ならクビになって困るという人は会社に食べさせてもらっている人だからです。
社畜になってはいけない
社畜とは会社と家畜が合わさって出来た言葉で、飼い主(会社の雇い主)に餌(給料・生活費)を与えられて生活している人のことです。
社畜となってしまった人は飼い主(雇い主)がいなければ生きていくことができませんし、飼い主(雇い主)から給料・生活費を与えられないと生きていくことが出来ません。
これは非常に危険であり、社会的に不利な状態です。
一度社畜になってしまうとたとえあなたがどんなに頑張って仕事をしてもギリギリ生活が出来る分だけの収入しか得ることが出来ませんし、だからといって辞めることもできないのでそれを拒否することも出来ません。
社畜はまさに会社の中で飼い殺し状態。社畜でいる限り豊かさを手に入れることは出来ません。
独立しろというわけではない
「社畜になってはいけない」
というのは「独立しなさい」という意味ではありません。
「会社に食べさせてもらうのはやめなさい」という意味です。
現在日本の多くの会社員は会社に食べさせてもらっている生活を送っています。
日本の法律では従業員を一度採用してしまうと簡単に解雇することが出来ず、理由もなく減給も出来ないようになっているため、一生懸命働かなくても毎日出勤するだけで昇給し、安定した給料を得ることが出来ます。
このような日本型の企業は一見従業員に優しいシステムのように見えますが落とし穴もあります。
企業は一度雇った従業員を簡単にクビに出来ないため人を新しく雇うことに慎重になってしまいます。だから会社の倒産や事業縮小等で会社を辞めざるを得なくなってしまうと再就職が厳しいです。
厳しい就活現場で勝ち抜くためには企業から欲しいと思われる人材にならなければいけません。しかし多くの会社員はそのような人材でなくても、何のスキルも持たない人材でも会社に食べさせてもらえるので何のスキルも磨こうとしません。
就職した会社が一生残り、今のまま安定した収入が入る保証があるならそれでもいい(会社に食べさせてもらってもいい)と思いますが、果たして数十年後、今ある会社がどれだけ倒産せずに残っているでしょうか。
会社に居ながらスキルを磨こう
このサイトでは主に以下の3つを主軸に解説しています。
- 転職による年収アップ
- 独立、開業による年収アップ
- 副業、による年収アップ
これらはいずれも個人のスキルの向上によって実現が可能で、それは会社に勤めながら磨くことも可能です。
お話に登場した政美のようにリストラに遭う前にどんな環境でも収入を得られるように自分を磨くことが大切です。
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